不思議な感覚

私は現在、とある外国において会社勤めをしています。当然のことながら日々ともに仕事に励む上司・同僚がいます。

中でも、直属の上司ともう一人の男性については、不思議な感覚を覚えます。上司からは兄の存在を、もう一人の男性からは父の存在を感じます。

もちろん彼らは血の繋がった家族ではなく、 私の家族は彼らとは別に存在しています。

しかし、私は彼らと一緒に仕事に取り組み、互いの相乗効果によって不可能だと思われた問題をいくつか解決してきました。このような相乗効果そのものから得られた結果については、達成感とともに心からの喜びを感じていますが、一方でそれだけではなく、仕事を離れても彼らと接することにより何とも言えない心の安らぎも感じています。

もしかすると、私の物理的な意味での家族はあくまでその存在の影響が最も色濃く出ている人間であって、その実体の全ては反映されておらず、残りの部分が血の繋がらない他人に分散されているのではないか、そして、その分散した先が私の現在の上司やもう一人の男性に宿っているために彼らから兄と父の存在を感じるではないかと、ここのところ考えています。

彼らに対して、私は明らかに特別な感情を抱いています。これが勘違いではなく、真実であればいいなと思っています。

しかし、もしこれが正しいとすると、自分自身についても同じことが当てはまるはずです。つまり、現実世界において認識および同定可能な自分自身はその本来の姿全てではなく、その一部もしくは一側面を最も濃く反映している存在だと考えることができます。そして、残りはおそらく世界のどこかに飛び散っていることになります。だとすると、私がこれまで信じてきた自分自身とは、絶対的な真実ではない、しかし、それから遠くはないもののその全てではない何かということになります。

これが真実なのかどうか、現在のところ私には判断つきかねます。肯定するにしろ否定するにしろ、それに足りうる根拠には今のところ辿り着いていません。

 

差し当たっては、この答えを今後の人生において探してゆくことになりますが、彼らの存在が、このような、私にとって面白い疑問を与えてくれたことに対してやはり不思議な感覚を禁じえません。